日々小論

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 この欄で以前取り上げた、アメリカの安全な「食」を求めるグループのゼン・ハニーカットさんの著作「あきらめない」は、一般の消費者が食の現状を知る上で役立つ本だ。

 家族の体の不調に悩んでいた一人の母親が、農薬をはじめとする多くの化学物質に食品がさらされていることを知り、食卓と社会から取り除いていく“闘い”の道のりが記されている。

 世界では今、二つの農薬を巡る議論が活発化している。一つは、著作の主要テーマでもある遺伝子組み換え作物の栽培などに使われるグリホサートを主成分とする除草剤だ。

 アメリカでは、栽培拡大に比例して、がんや内臓疾患、認知症、自閉症などが増えたことが注目されるようになった。体に必要なミネラルを摂取する機能や免疫システムの破壊などの要因と指摘されている。

 もう一つはネオニコチノイド系農薬。タバコのニコチンに似た物質が主成分で生物の神経の働きを破壊する。ミツバチの集団失踪で有名になった。

 これらは、昔の農薬に比べ、すぐ虫を殺すような毒性は低いが、生命の精緻なメカニズムなどを狂わす可能性があるとして、予防原則の考え方から各国で禁止に向けた動きが進む。ところが日本は世界の流れから逆行して使用を緩和している。

 アメリカでは有機農産物の消費が急増し、韓国では学校給食を無償で有機農産物に変える取り組みが拡大している。背景には健康に一生を過ごす食生活が広がることが、家庭と国の医療費を抑制する根本的な方策になるとの考え方がある。

 医療や福祉の費用が財政を圧迫する日本にこそ、国の立て直しのためにその視点と発想が求められていると思う。

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