日々小論

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 「日記帳の終活」と題する読者の投稿が先日、本紙くらし面の「ふれあい」というコーナーに載った。

 投書の主は加古川市で農業を営む83歳の男性。中学3年の頃から70年近く日記をつけていて、時々読み返しては当時の思い出に浸っているという。

 あるとき妻に「日記帳は最後には自分で処理してください」と言われ、半年考えたそうだ。そして決めた。庭にある樹齢30年のキンモクセイの根元に埋めようと。過去5年分は手元に残し、間もなく迎える84歳の誕生日に実行するのだとか。

 実は、私も日記を書いている。小学5年からなので、約40年になる。「1年続いたらお小遣いをあげる」と母親に乗せられて始めたら、日課になった。めったに読み返すことはないが、段ボール箱に入れて押し入れの奥にしまっている。

 投稿を読んで、はたと思った。日記帳の処分について考えたことがなかった。既に何十冊にもなっている。今すぐにというわけではないけれど、将来これらをどうしよう…。

 気になってネットで調べると、あるわあるわ日記帳処分の体験談。シュレッダーで裁断、庭で燃やす、一般ごみに出す。「恥ずかしいから家族に読まれたくない」と思う人は多いようで、処分を請け負う会社もある。箱詰めして送ると、箱ごと薬剤で溶かすという。

 それらと比べるまでもなく、家族が気に入っているキンモクセイの根元に埋めるという投書主の方法は、詩的だし、何だかうらやましい。日記帳が眠る土の上に、甘い香りの黄色い花が降り積もる。そんな光景が目に浮かぶ。

 まねるにも庭がない。時間をかけて考えることにしよう。

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