日々小論

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 立ち居振る舞いは際立っていた。向かい風にひるまない発言に、つい聞きほれたものだ。

 ベルギー人ジャーナリストの著書にこんな表現がある。

 「晴れやかな表情、黒檀(こくたん)のような黒い髪に花を飾った美しい反逆者」

 ミャンマーのアウン・サン・スー・チーさんのことである。

 民主化運動の指導者として、自宅軟禁中にノーベル平和賞を受けた。自由の身となって政治の表舞台に登場したとき、期待した。軍によるミャンマーの政治も変わるだろう、と。

 国家顧問兼外相、いわば事実上のトップになったのだが、世界からの拍手はやんだ。イスラム教徒少数民族への国軍による迫害を止められないからだ。

 国際人権団体は授与した人権賞を撤回した。ノーベル平和賞にふさわしいかという疑問まで耳にするようになった。

 しばらく前、テレビニュースで彼女を見た。「晴れやかな表情」は消え、まなざしに陰りが宿る。担うものの重さを感じさせた。

 数日前に目にした情報では、国軍の政治関与を減らす憲法改正案をめぐって、スー・チーさんと国軍との攻防が熱を帯びてきたという。今は、その水面下のつばぜり合いに精力を注いでいるのだろうか。

 イソップのお話を思い出す。

 だれを王様にするか、鳥たちが相談していた。美しい私を王様にと、クジャクが求めた。そうしようかと意見がまとまりかけたとき、小さな鳥が言った。「あなたが王様になったとき、ワシから追われるわれわれをどうやって助けてくれますか」

 美しいクジャクはオスだが、ここはお許し願って、難民となった少数民族とスー・チーさんの物語として読んでみる。

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