日々小論

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 プロ野球がキャンプの季節を迎えると、何年かに一度、耳にし、目にし、時に口にもする。「バースの再来や」である。

 阪神の新外国人が景気よくかっ飛ばして“大砲”の予感が漂うと、スポーツ紙などの見出しに躍る。「再来や」の「や」には、そうや、そうであってくれよ、という祈りにも似た強い願望がこもる。

 ランディ・バースさんは1985年から2年連続で三冠王に輝き、阪神を初の日本一に導いた救世主だった。いまなお“史上最強の助っ人”と呼ばれている。とはいえ、だいぶ時がたった。例えば「クロマティの再来だ」とか「ブーマー再び」とか、ともに80年代に大活躍した選手だが、いま、そういう呼び声はあまり聞かない。

 その偉大な足跡のみならず、バースさんの場合、一つにはファンにとって寂しい別れだったことも関係があろう。家族の病気のためにシーズン途中で帰国し、いろいろと経緯はありながら、そのまま退団に至った。調子を落とした時期もあったにせよ、「まだまだやれたのに」、多くの人がそう信じていたに違いない。

 阪神が再び低迷すると、そうした未練はますます募る。ここはちょっと宗教じみた話になって恐縮だが、「いつか帰ってきて弱い阪神を救ってくれる」という思いが「再臨」幻想に結びついたのかもしれない。…考えすぎでしょうか。

 この30年あまり、「バースの再来や」音頭を図らずも踊らされ、期待にこたえられずに日本を去っていった外国人選手が何人もいた。思えば気の毒で、名前さえおぼろげである。

 「バースの再来やて」「ホンマかいな」-今年はどうだろうと、またも懲りずに春の夢。

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