日々小論

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 経験は、伝えてこそ磨かれる。尼崎市議を経て尼崎市長を2期務めた白井文(あや)さんの話を久しぶりに聞き、そう感じた。

 先月、小野市がさまざまな分野で活動する市内の女性団体を集めて開いた交流会でのこと。同市は統一地方選で女性市議7人が当選し、議会の女性比率43・8%と県内トップに躍り出た。女性の政治参画を促す地道な取り組みが注目されている。

 講師として登場した白井さんが語ったのは、詳細な「自分史」だった。男女雇用機会均等法はまだなく、将来が見えづらかった客室乗務員時代。50代の女性の先輩はいなかった。

 生まれ育った尼崎の市議会で発覚した「カラ出張」問題。怒りに任せ出直し市議選に立候補し、2期8年をまっとうした。「子どもを産んでから来い」と暴言も浴びたこともある。

 政治とは距離を置くつもりだったのに、市政を変えるのは今しかない、という仲間たちの要請を断り切れずに立候補を決断した市長選。次も女性に引き継ぐためには、と戦略を練り、2期の任期満了で退任した。

 「自分では開けない扉を人が開けてくれた。断らず、一歩踏み出すことが大切」「自分も人に影響を与えていることを意識して」。実体験を踏まえたメッセージに、参加者がどんどん引き込まれていくのが分かった。

 世界経済フォーラムの「男女格差報告」2019年版で日本は153カ国中121位に後退した。政治、経済分野の対応の遅れが指摘されて久しいが、女性自身の意識は変わったか。

 男性中心の仕組みに慣れ、若い女性たちの扉を知らず知らずに閉ざしていないだろうか。できることなら、扉の前で迷っている女性の背中をそっと押せるような言葉を私も持ちたい。

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