日々小論

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 ポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡を訪ねたのは6年前の秋、戦後70年の節目を前にした時期だった。欧米諸国から来た若い人たちの、熱心な態度が印象に残っている。

 跡地は国立博物館として保存、公開されている。入場者はあれから年々増え、昨年は230万人と過去最高を更新した。

 現地で暮らす神戸出身の公認ガイド中谷剛さん(54)によると、日本人も2万5千人を超えたそうだ。地元ポーランドの40万人や英国の20万人、米国の12万人などには及ばないが、数年前と比べたら倍ほどになる。

 解放から75年を迎えた今年はより多くの人々が訪れるだろう。国境を超えて平和への思いを共有することはすばらしい。

 気になるのはその後である。節目の時期が過ぎれば波が引いたようになりがちだ。関心が薄れないかとつい案じる。

 だがその必要もなさそうだ。中谷さんからアウシュビッツの博物館で働き始めた、神戸出身の若い女性がいると聞いた。

 当麻(とうま)さくらさん。本や紙資料の修復や保存の専門家で、国内外の博物館などで仕事をした経験がある。半年間のインターンシップをへて、昨年9月に正職員に採用されたそうだ。

 スーツケースや靴、義足、義手など多くの遺品が残されている。当麻さんはそれら貴重な品々の保存も手掛けている。

 中谷さんからは、姫路の兵庫県播磨高校の生徒らがアウシュビッツを隔年で訪ねていることも教えられた。新年度からは毎年訪問する予定だという。

 重い歴史を伝える場所に、神戸や兵庫の人たち、特に若い人の姿があることは心強い。一つ一つは小さな点だが、点は集まれば線にも面にもなる。未来を開く力になるに違いない。

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