日々小論

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 「歴史法廷」という言葉がある。今の判断が正しいかどうかいつか歴史が裁く、という意味である。

 亡くなった中曽根康弘元首相がよく口にした。10年余り前、ノーベル化学賞受賞者の野依良治さんも使い、話題になった。次世代コンピューターが事業仕分けで凍結されそうになり、国会議員を前にこう言った。

 「仕分け人は将来の歴史法廷に立つ覚悟があるのかと問いたい」

 法廷の被告席に立ちたくないと思ったか、当時の鳩山由起夫首相は「科学技術はしっかり支援する」と答えている。

 おそらく、こちらもおっつけ歴史の法廷に立つ。カジノを含む統合型リゾート(IR)である。東京地検特捜部が事業に絡む国会議員の汚職事件を捜査中というのに、政府は予定通りに進めるそうだ。背後に広がる黒いよどみが見えても。

 観光立国の目玉という。外国人観光客に楽しんでもらったら、経済効果は大きい。雇用も増える、というわけだ。

 かもしれない。しかしどれほど聞こえのいい単語が並ぼうと、モヤモヤは消えない。ギャンブル頼りでの、いわば身過ぎ世過ぎ。いいのかね、こんな考えで。世論調査でも70%が「見直せ」と答えている。

 韓国の江原(カンウォン)ランドは、韓国人も利用できるカジノとして知られている。なるほど雇用の受け皿にはなっているようだ。しかし、ギャンブルで負けて金を返せない、追い詰められて命を絶つ、あるいは周辺の治安が悪くなった。こんな声を聞く。まばゆい光の足元に、影が広がっている。

 何が何でも進めようとするみなさんに問う。将来の歴史法廷に立つ覚悟はおありか。

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