日々小論

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 昨年末、東京五輪・パラリンピックの競技会場が集まる東京の湾岸部を視察する機会があった。開発のつち音は絶えないが、首都直下地震を扱ったNHKのドラマを見た直後だっただけに、ここで今、地震が…と思うと、心がざらついた。

 東京圏には3600万人以上が暮らす。政治、経済、文化などあらゆる社会活動が一極集中している現状が、いかに危険であるか。五輪・パラ開催中の巨大災害など考えたくもないが、国家的な危機管理が問われる。

 地震災害が怖いのは、いつ起きるか分からないことだ。ハード整備や行政の対応は言うまでもない。その上で、1人でも多くの命を守るには、帰宅手段や食糧の確保、安否確認など、家庭や個人でできることを普段から考えておく必要がある。

 近年、地震以上に身近な脅威は風水害。一昨年の西日本豪雨や台風21号、昨年も東日本各地で甚大な被害が出た台風19号などが襲った。都内でも、荒川が氾濫すると広範囲で浸水の恐れがある江東5区(墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)では、事前避難の対象者は最大250万人に上る。人と防災未来センターの河田恵昭センター長は「台風19号で荒川が決壊しなかったのは偶然にすぎない。高潮のピークが3時間後に来ていれば、氾濫していた」と話す。

 視察先の五輪会場では、組織委員会の担当者が「ここは国民や都民のレガシー(社会遺産)となる」と胸を張った。前回の東京五輪では、新幹線や高速道路など多くのレガシーが生まれ、経済成長を支えた。あれから56年。ハードインフラだけでなく、どんなソフトレガシーを残せるのか。被害を減らすことはできる。「平和の祭典」の年、浮かれてばかりはいられない。

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