日々小論

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 九州の最西端、63の島々からなる長崎県五島市は「自然エネルギーの島」として脚光を浴びている。その象徴である浮体式洋上風力発電を間近で見た。

 風を受ける直径80メートルのローターも合わせ、海面に浮かぶ構造物は全長172メートル。下半分は海中にあり、鎖で海底につながれている。2千キロワットの発電機を搭載し、約1800世帯分をまかなう。台風は年に数個通るそうだが、強風下では回転をやめる仕組みで、風速70メートルの暴風雨にも耐えたという。

 最も驚いたのは海中の映像だった。海面下のコンクリート製の部分は海藻やサンゴでびっしり覆われ、小魚たちの楽園となっていた。伊勢エビや高級魚のキジハタも顔をのぞかせる。

 洋上風力は海に囲まれた日本にとって有望な自然エネルギーだが、思うように導入が進んでいない。年間千人もの視察があるという五島市の成功の鍵は地元漁業との協調だった。

 日本の漁業は、魚が産卵し、すみかとする藻場が減少する「磯焼け」が共通の悩みとなっている。市では、そうした海の課題解決も進めようと漁業者と話し合いを重ね、生態系調査や漁場づくりに取り組みながらエネルギー事業を拡大してきた。

 今後、より大型の10基や潮流発電施設も設置し、海から生まれる電力を電動漁船や製氷設備、電気自動車などの普及にも活用していく計画だ。

 失われた豊かな海を再生するために、魚たちがすんでいける環境を人が責任を持ってつくり上げねばならない時代だ。風という地域資源をその原動力に生かす。五島の戦略は、自然エネルギーの実証実験から本格事業化へのステップアップに悩む自治体や地域の企業にとって、学ぶべきところが多いと思う。

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