日々小論

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 紹介している記事を読み、初めてコミックを買った。今年出版された「コミック版 二十歳(にじゅっさい)の原点」(双葉社)だ。

 二十歳の原点…か。あのころの残り香をかいだ一人として、手に取りたくなった。

 原作の著者は高野悦子さんだ。立命館大学に通っていた1969(昭和44)年、自ら命を絶った。

 激しかった学生運動、そしてアルバイトや恋。日々の出来事に真正面から向き合い、自分を見つめた。その日記が「二十歳の原点」として出版され、ベストセラーになった。

 コミック版は、現代を生きる20歳の女子学生が主人公だ。ふとしたことで半世紀前と現代とを行き来するようになった彼女は、高野さんと知り合い、自分の進む道を真剣に考える、という物語である。

 それにしても、今、なぜ「二十歳の原点」なのか。そう問うと、編集者はこんな話をした。

 今の若者たちは、ラインのように短い言葉で済ませる。

 「でも、これほど濃いコミュニケーションをとっていた時代があった。それを若い人たちに知ってほしくて」

 どうしても銀髪世代からの反応が強い。しかし「主体的に考えてこなかった」「流れてしまう自分がいる」。若い読者からそんな声が届くそうだ。

 原作には高野さんの父が一文を寄せていた。毎夜、手記を取り出しては「娘との対話を続けています」。とても印象深いくだりである。

 対話。編集者は若い世代が高野さんと対話してほしいと願ってコミック版を出した。同じような空気を吸っていた世代が、50年前の自分と対話する機会にもなりそうだ。ほろ苦さばかりがこみ上げてくるが。

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