日々小論

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 彼が沈黙を破って何を話すのか、注目の会見だった。性的暴行を受けたとしてジャーナリスト伊藤詩織さんが訴えた元TBS記者の山口敬之氏である。

 東京地裁は山口氏が「合意がないまま性行為に及んだ」と認定し、賠償命令を下した。敗訴を受けて彼が開いた記者会見は1時間半に及んだ。会場に行けなかったので映像で見た。

 結論からいうと、これほどあぜんとさせられた会見はない。

 事実を争っている彼が判決に反論するのは当然として、伊藤さんをうそつき呼ばわりし、「本当の性犯罪被害者から聞いた」として開陳した話はいろんな意味でショッキングだった。

 「性犯罪に遭った人は伊藤さんのように会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出たり、あのような表情をしたりすることは絶対にない」

 自分がその場にいたら思わず「はぁ?」と声を上げたかもしれない。要するに、性犯罪被害者は自ら表に出る形での加害者の告発は絶対にできないし、笑うことができる女性は被害者ではないという論法だ。

 しかも自身の意見ではなく、あくまで本当の被害者による証言だとした。伊藤さんのみならず、全ての性被害者をおとしめる発言だと思う。セカンドレイプという言葉が頭に浮かんだ。

 会見には安倍政権に近いとされる顔ぶれが並んだ。嫌韓的な記事が目立つ雑誌の編集長花田紀凱氏と文芸評論家の小川栄太郎氏。小川氏といえば、性的少数者への差別的な表現で月刊誌「新潮45」が休刊に至るきっかけをつくった1人である。

 山口氏は控訴するという。この件は刑事事件としては不起訴になった。今回の会見で、社会の関心はより高まったと確信している。

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