日々小論

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 発言を聞き、笑った衆院議員がいた。

 2001(平成13)年10月のことだ。米軍などのアフガニスタン空爆が始まっていた。自衛隊による後方支援ができるよう、政府は特措法案を出した。その方針をどう思うか、参考人6人が衆院特別委員会で意見を述べている。その1人が、アフガンでの人道支援中に殺害された医師、中村哲さんである。

 議事録にこんな言葉が残る。

 「げんこつだけでテロはなくならない。発生する土壌、背景からなくしていかないと」「日本に対する信頼は絶大だ。それが軍事行為に参加することによってだめになる可能性がある」「自衛隊派遣が取り沙汰されているが、当地の事情を考えますと有害無益でございます」

 医療から農業へ支援を広げたいきさつを語り、「私たちが必死で…」と話したところで誰かが笑った。議事録には「笑っている方もおられますけれど」という中村さんの一言がある。不快感がにじんでいる。

 どの党のどなたか、議事録にはない。おかしい場面ではないから、冷ややかな笑いとしか思えない。重い内容を理解できない、あるいは理解する気もない笑い。作家澤地久枝さんは著書にそう書いている。

 18年後、その死をアフガン国民が惜しみ、大統領自らがひつぎを担いだ。人生をかけた活動がどれほど大きな意味を持っているか、想像する力もない。

 積極的平和主義。安倍首相はそう言う。でも、自衛隊の海外派遣がなぜ平和主義なのか。

 人と人との関係を大事にすること、悲しみの傍らにいること、丸腰で一緒に汗を流すこと。それこそが積極的平和主義と、中村さんの歩みに教わる。

 違いますか、笑ったあなた。

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