日々小論

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 「ホテル ロマンス座カド」がようやくオープンしました、と静岡県熱海市でまちづくり会社を営む市来広一郎さん(40)からメールが届いた。

 さびれた温泉観光地の代表格だった熱海は、ここ数年で「奇跡のV字回復」を遂げた。足湯広場などが整備された駅前は若者でにぎわい、高度経済成長期の500万人台から半減した観光客数は、低価格のホテルチェーン進出などで300万人台まで戻ってきた。

 市来さんは12年前、東京から地元熱海にUターンし、シャッター通りと化した「熱海銀座通り商店街」を拠点にまちづくりに取り組んできた。空き店舗をカフェや若者向けゲストハウスに再生し、徐々に周囲を巻き込みながら、街の魅力をビジネスに生かす試みを続けている。

 その現場を訪れたのは今年の初め。商店街で買った名物の干物を向かいのカフェで焼いて食べられると聞き、早速実践すると、通りかかった人が「うまいだろ」と声をかけていく。それだけで街の一員になったような気分になった。

 「観光客を増やそうとは思っていない」。案内しながら市来さんは言った。観光客の多くは「インスタ映え」するスポットに集中し、昔ながらの旅館や飲食店の廃業は今も珍しくない。

 裏路地の喫茶店、なつかしのスナックなどの魅力を滞在しながら体験してもらおうと計画したのがホテル「ロマンス座」だ。10年ほど前まで映画館だった空きビルを活用し、開業にこぎつけた。目指すは「100万人が1回訪れる街より、1万人が100回訪れる街」という。

 訪れた人が暮らす人と出会い、気づけばファンになっていく。熱海に限らず、そんなロマンスが各地で実を結べばいい。

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